2015/01/29

中央工学校 課題の主旨の解説 表現の仕方 その取組にあたって

講師として関わっております中央工学校の設計製図の授業において、現在学生が取り組んでいる課題の主旨の書き方を少々解説する機会を得て学生の皆さんの前でお話をしました。
ただやりたいからやった、とか、なんとなくかっこいいからやった、とかではなく、自分が普段考えている、考え続けてきたその建築にかける思想、哲学などを、自身が設計した建築にぶつけて欲しい、その建築に意味を持たせて欲しいのです、というようなことをお話しました。

一概に言えないし、とても難しいのですが、要は、後先なにも考えることなく設計し建設し完成を迎える建築を作ってはいけませんよ、ということです。
そんなハコモノを作ったって、誰からも愛されないし、使われ続けません。いかにそのエリア、まちに住んでいる人に親しみを持たれて、内外の人に使われ続けて、たとえそれが住宅でも、そうなって始めて、日本の、そしてそのエリアで生きている方々にとっての財産になるのです。何も考えないで作ったものは、ただの負の財産に成り下がる他ありません。

空き家が830万戸を超えて、これからも増える一方です。世の中はリノベーション全盛期になりました。でも、その一方で、新築を設計する際、その建築家、設計者が作家性、作品性を追い求めたってそれは表現の自由ですし、それはそれで設計の技を競い合う、いいことだと思うのです。

考える事です。様々なかかわる人、お互いを認め合い、考える事。比較することです。リノベーションをすることがいいことなのか、もしくは、新築をすることがその場合はいいことなのか、真剣に考えることです。安易に答えを導いてはいけません。真剣に考え抜いて答えを導けば、その答えは、その人にとっても、生まれた建築にとっても意味のあるものになるし、それまでの時間そのものが、かかわった全ての人の財産になり、より豊かな心になります。そうなると信じています。

そんなことを思いつつ、設計主旨の書き方、表現の仕方についてお話をさせていただきました。かなり思想的なお話になってしまいましたが、もちろんそれを貫くには様々な障壁があると思います。土地のこと、お金のこと、税制のこと、具体的にあげたらきりが無いかもしれません。考え始めただけで目の前がくらくらしてしまいます。だからこそ、ブレない芯を持ちたいのです。

学生の前でお話したこと、それを思いつつ更に新宿区の富久クロスを見つつ思いを膨らませながら歩きました。


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