結果論かも知れないが、試合に向かう選手の火をは、悲壮感漂う顔にどうしても見えた。
男子柔道においてメダルという結果を残せた選手は良かったのかも知れないけど、そのメダルがシルバーやブロンズだった人達の顔色は、他の競技種目の選手達と比べてやはりとても冴えないものに画面を通じて写ってしまった。それを、明確に視聴者は感じたであろう。
そのことを、選手にどうのこうの言っても何も改善されないし、なんにもならないだろう。かといっても、優しい言葉を選手に対して掛けるのはこの時期相当酷なはず。僕も柔道を高校時代部活でやっていたので、多少ではあるものの選手の気持ちもわかる。やっぱり勝たないと。あの場では、あの状況の中では、結果を残すことがとても重要。声を掛けるとしたら、次勝つためにはどうしたら良いか?というあくまで勝ちにこだわる、勝ちに通ずる前向きな議論をすべきだと思う。選手にとっても、慰めの言葉を掛けられるよりも絶対良いはず。
ポイント制になって、日本の柔道界は確実に世界の柔道から取り残されているような気がする。柔道の世界大会を見るとそれが如実に見て取れる。あくまで一本を取りにいく姿勢は見習うべきだが、それでは、世界の強豪には勝てないのだ。勝てないことが分かっているのに、その姿勢を貫き通そうとしているように感じられてしまう。
今回のオリンピックですっかり他の競技や、男女という区別で、随分差を付けられたように思う。柔道という競技で、試合に向かっていくのに笑顔で向かっていくことはなかなか難しいと思うし、絆や連携を求めるのもなかなか難しいのかも知れない。水泳のリレーのように、団体戦がオリンピック種目であれば別なのだけど。
メダルの色はなんであれ、メダルを取った男子柔道選手から、もう少し連帯意識の高まるコメントが残されても良かったように思う。みんなに感謝的な言葉はあったのは確かだけど少なかったのは寂しい。それよりも、国のために金メダルを持ち帰れず申し訳ない的な発言が目立ってしまっていた。
一昔前であればこの考え方は通じたのだと思うけど、今は通じない。その証拠に勝てなくなっている。当の選手一人一人も他の競技の情報は流れてきていて知っているだろうから、勝てるようにならないと、とはみんな思っているだろうし、柔道界全体の体質も変えていきたいと少なからず思っているのではないでしょうか。
スポーツの試合は、オリンピックであれ、ワールドカップであれ、スポーツという平和で守られた平和な”闘い”の場だと思います。もし変革をもたらしたいのであれば、闘いに勝たないと。
いくらお国の種目とは言っても、やっぱりスポーツのそして平和の祭典なんだから、基本、原則は。一つ一つの競技に向かって厳しくも、楽しく、笑顔で、立ち向かわないと。
多くの競技に非常に魅せられた今回のオリンピックだったが、その中でも女子柔道の松本選手のコメントがとても印象に残っています。金メダルは取ったものの自分が目指している柔道、一本の取れる柔道を目指していきたい、という主旨のものです。ポイント制柔道を制し世界を獲った人が言うとやはりとても説得力があります。この発言には、明確に一本取る柔道では金メダルを取れたかどうかはわからないという意見が本人の意志とは別に、読み取れてしまうから。一本を取る柔道にこだわり続けるけど負けは認めないという考えの人達への痛烈なアンチテーゼとなったのではないでしょうか。僕は少なくともそう感じました。4年前の石井選手の時だってそうです。彼はもっと強烈なメッセージを行動として残しました。総合格闘技にあっさり転向してしまったから。彼を飼い慣らせるくらいの度量の大きい指導者が居なかったのもとても残念。問題があったのかも知れませんが、それでもそれを利用するくらいのことをしないとと今でもそう思っています。
世界の状況は確実にすごいスピードで変化しています。スポーツという平和な闘いでも、負けてもいいんだ、それよりも過程が大事、とか言ってると、そこにつけ込んでくる他者が必ずいます。日本に関わる多くの人が、大事に至る前に、少しでも意識の変革とそれに行動に起こすことに意識が向かうように切に願っています。
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