2015/07/15

JIAトーク第2回 ブルース・ヒューバナー氏(尺八)+ジョナサン・カッツ氏(ピアノ)

その見事に融合された音色は空間を静謐なものへと一変させました。全くの異なるもの、相反するものとも受け取れる2つが発するその音は、空間や時間といった人間が感じ取るものを軽々と超え、その場にいた人たちの心を直接震わせました。
尺八とピアノ。これらは東洋と西洋という概念の例えとされるようですが、合わさったその音からは、まだお互い存在を知らなかった時代から、実は互いの存在をどこかで感じていて、現代においてたまたま出会っただけなんだよ、と、そう言っているかのようでした。

ブルースが吹く尺八を時折見つめ、また自分の指先の鍵盤に語りかけるように弾くジョナサン。そのジョナサンが奏でるピアノの音色を耳から、同時に体全体から受け止めて、尺八に息を吹き込む間合いを図り、何本もの指を瞬間的に同時にせり上げていくジョナサンの尺八。その互いの間合いを感じることそのものが、共存の美を見出すことなのかと。

柔道でも目の前にいる相手の呼吸や指先の動きを見ながら自分も呼吸を整えるのと同じく、また弓道でも自分という塊と的までの間にある一直線の空間の空気を感じながら、同時に自分の中の息遣いを指先を通して伝わってくる矢という物質の状態を感じ、更に瞬間的に自分の体内で感じ受け取る光により、矢を放つタイミングを図るのと同じく、尺八とピアノを奏でる奏者が図る間合い、体を動かし互いを感じ取り、次の瞬間2つのエネルギーを同時に放出するそのタイミング、これら全てが空間と、そしてその場にいた人と共存した、音の持つ源のように感じました。

7/15水曜夜におこなわれたJIAトーク第2回。運営委員をしていた関係で、本番直前のリハーサルも聞く機会に恵まれたのですが、もちろんいつも思ってますが委員やってて得したなと思ってしまった、笑。

さて、次回のJIAトーク第3回。9/9水曜に、ひびのこづえさん(コスチュームデザイナー)により、テーマは「空間と服」です。乞うご期待です。







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