2018/03/31

A-Forum アーキテクト/ビルダー研究会に参加 設計者選定について

お茶の水は講演会や、特別にレモン画翠で模型材料を購入する時くらいしか滅多に行かないのだが、その講演会があり、久々行ってみました。
「A-Forum アーキテクト/ビルダー研究会」です。今回は設計者選定についてで、群馬県の新井さんのお話です。以前2年ほど前ですが、今教えている中央工学校の文化祭で同校ご出身の新井さんが講演されそれを聞いたのが一つのきっかけで、今回新井さんから教えて頂き、参加させていただくことととなりました。

建築する時、特に公共建築を建築する時、そのプロセスの中に設計者選定をすることの効果、と同時に、それに至るまでの経緯や困難だったことが説明されました。市民参加型の建築プロセスはいかに良いか、という表面的なことだけではなく、その背景にある行政のある種思惑みたいなものとか、本音とか、その舞台裏も窺い知ることができました。このことは、建築、そして建築設計に携わる者と、そうではない者の意識の相違や、困難さを浮き彫りにしたのと同時に、いかに設計者選定のプロセスが入った建築が、多くの市民にとって資するものなのか、その可能性も提示されることとなったのではないかと思います。群馬県に勤務しながら、その設計者選定をしながら建築することの仕掛けを数多くやってきた新井さんならではの説得力の高さだったのではないかと思います。

プレゼンではそもそも論など、ぶっちゃけ的な話、それを言っちゃあおしまいよ的なこと、会場では達観という言葉が時折出てきましたが、そんな達観論もあったのですが、でもそれって結局多くの人々が持つ本音の部分なのですから、設計者サイドとしては当然無視できない意見、思考だし、それも理解した上で、設計に取り組まなければならないことです。いくらこちらが、これが良いんですって言っても、そうは言っても、相手あっての建築だし、使う人あっての建築で、自分以外の人がいなければ自分もいない、というのはあるので、とても重要なお話だと思います。

新井さんのような方が数多く日本各地の行政に存するようになれれば良いなとは思うのですが、色んな思いを持った一人一人の人間が集まってものごと決まっていきますから、全ての人が新井さんになることは不可能に近いこと。でも、どうあることが理想か、そこに至るまでの困難さも含めて、その理想に近づくことへの可能性を持つことができた有意義な会でした。ご紹介いただきました新井さんには改めまして感謝申し上げます。ありがとうございました。





2018/03/23

伝えるとか、伝わるとか。

筆者自身が主宰する建築設計事務所のバノラボにてこの2月、3月の期間アルバイトしてくれた中央工学校の学生さんのお疲れさま会を兼ね、ゲストに建築家の谷内田さんとその事務所の共同社長の木村さん始め、その他建築家のお二方をお招きして一席を持つ機会がありました。

谷内田さんは僕が一番最初に勤務した事務所のボスで、信に厚く、それは今になっても、この15年以上経っても変わらない。みなからその親しみある人柄や頼られるその姿、ホントに変わってないです。すごいことですよね。
そして谷内田さんご自身も大変お忙しいのにも関わらず、こうした呼びかけにも答えてくれる、それがまたとても楽しそうにやってきます。
僕が言うのもなんなんだけど、きっと谷内田さんご自身も、ご自身がどういう立場にいて、自分の存在、その場に居るという存在が、自分以外にどういう影響を与えるとか、分かっていらっしゃるのではないかと想像します。

谷内田さんは、というか、もちろん谷内田さんに限ったことではないけれど、このような人たちというのは、何も言わずとも何かを伝えようとしてると思うし、そもそもその存在だけで何かが伝わるのです。こんなすごい人には到底なれないけど、生きている内は、是非目標にしたい、そんな存在です。いつまでもお元気で。本当にいつもありがとうございます。

2018/03/20

中央工学校 卒業式を終えて

設計製図の授業を教えている中央工学校で、受け持ち学年、クラスが卒業を迎えました。卒業した学生の皆様には心よりおめでとうございます、とお祝いの言葉を贈りたいです。よくこの2年間のハードスケジュールでハードな内容のものに喰らいつき、結果を一つ一つ積み上げながらこんにちを迎えられたと思います。

僕としては設計製図のエスキスという一つの作業を通じて、様々な会話をして、いくつかのきっかけを与えていたに過ぎないと思っています。それを理解し、あるいは理解せずに自分なりに消化し、何らかの形として表していったみんなは、すごいエネルギーを使ったのだと思います。心より尊敬します。これを一つの自信として更に上の高みに向かって進んでいってほしいと思います。

2月の授業の最後にも言ったし、卒業式にもお話を差し上げたので、それが最後にお伝えしたいことのほとんどです。改めて自分の2年間の言葉での伝達のまとめというか、そう言った意味合いも込めて、再度述べることしてみたいと思いまして綴ってみます。

建築は、コミュニケーションの集積物だと思っています。どんな職業、職種も少なからずそうだと思いますが、こと建築の仕事は、とにかく多くの人達と仕事を共働くしながら進めていかなければ出来上がらない、そんな仕事だと思います。自分以外の誰かと、そしてそれはとても多くの人と、一つ一つの会話を積み重ねていかなければなりません。相手のことを理解する気持ち、時に思いやり、時により良くなるような意見を持ち、それをお互い言葉や気持ちでもって、伝え合う、そんなことを繰り返して一つの建築が出来上がっていきます。

2年間で学んだ多くのことを自信に代えて、畏れずに自分以外の多くの人たちと接して会話して、自分の歩みを進め、建築というものを形にしていってほしいと思います。

そしてそのことと関連する話になりますが、多くの職種の人たちに出会います。お互いの職業、職種を尊重しあいながら、仕事を進めていってほしいと思っています。とかく、「あの人は~屋さんだからなあ、何もわかんないんだようなあ」と思ったり、言ってしまっりすることが出てくる可能性があります。図面や画像という共通言語を見ながら、きっとこれは何かを伝えたいに違いない、と注意深くそれらを読み解いていってほしいのです。きっと何かをあなたに伝えたいのでしょう。

「~屋さん」と呼んでも、決してばかにするのではなく、愛情もって理解するように努めていってほしいです。きっと何かを問いかけたり伝えたりしたいはずです。

最後になりますが、きっとわからないことだらけの中、仕事を進めていかなければならない、そんな毎日となるはずです。これも前述したコミュニケーションのことと繋がりますが、畏れずどんどん聞くと良いと思います。「てなんですか?」ベテランの域に達したからだと、聞くのもなんなのですが、どんどん細分化されていってる建築の仕事、それはもう日進月歩どころか、もっと速いスピードで進化していってます。全てを捉え続けるのはもはや不可能に近いです。であれば、どんどんその道のプロの人たちにわかないことは聞いていけば良いかと思うのです。ましたや、卒業したての頃は右も左も分からないはずなので、それこと、畏れずどんどん聞いていって、そして、コミュニケーションを図って、皆と協力し合いながら建築に取り組んでいってほしいと思います。

特に僕は設計をする立場だし、色んな人達の間に立つことも多い立場だから、よりそう思うのかも知れませんが、でも、多くの人たちに出会う機会が多いからこそ、その実感を伴った感想として卒業する皆さんにお伝えしたいと思っています。

写真は、受け持ちクラスの学生さんから頂いた花束です。こちらの方こそ本当にありがとうございました。みんなの姿勢からこちらも学ばせて頂いたことは本当に多かったです。4月からガラッと環境が変わるけど、一つ一つあらゆるものと対話しながら乗り越えていって下さい。


2018/03/18

感動から得られるもの、知ること。

最近感動することが多い、感動的な場面に出くわすことが多いのです。ひとえに平昌オリンピック・パラリンピックによることが大きいですが、その他様々な出来事が起こりました。教えている中央工も2年制の2年生は授業も最後となり、卒業を迎え、そして、社会人やその他進学という次のステージを迎えます。

感動することから得られるものは無限大だと思います。その感動から知ることも非常に多いです。

努力してそれが結果として表れたらそれまでの努力が報われたということで、その喜びは感動となって表れ、多くの人の心に届き響きます。そして届いた感動は、多くのパワーとなって、また誰かに感動を伝えていくことができます。感動は伝播していきます。

今まであんなことがあった、こんなことがあった、これだけの人が自分をサポートしてくれた、そのことに対する感謝の気持ち、だから今の自分がいるんだ、そう思う気持ち、それを表現することは、多くの人々の共感を呼びます。

その感動の一方で、努力してもそれが結果として表れない、表れなかった、そんな場面にも多々出くわします。

全くもって自分自身は想定してなかった良くない結果です。その一瞬に全てを賭けていたけれど、まったくもって実らなかった、そんな場面です。後悔してもし切れません。。

でも、それも、努力が結果となった、多くの中の一つの場面です。多くの中の一つにしか過ぎないと思うのです。当事者からすると、簡単にそんな風に片付けることはできないと思います。でも、絶対その人は強くなります。そして、同様に多くの人に感動を届けることができていると思います。ひょっとしたら成功した結果よりもより多くの感動の量かも知れません。

昔、小学校の時の担任だった先生が、次のようなことを言っていたことを、感動の場面に出くわす時、あるいは、何か自分が取り組んだことに対する何らかの結果が出た時、いつも思い出します。

「努力なくして結果なし、でも、努力せずとも結果が出ることもある、しかし、努力せずして出た結果は真ならず。」

全ての文言は一致しませんが、そんなことをおっしゃっていました。
最近感動することが多く、また、そんな場面に出くわすことが多いので、その回数が多ければ多いほど、ものすごいエネルギーとなって、色んなことを教えてくれました。誰もが色んな物事を背負って生きているんだと思います。うまく行く時もある、失敗することも多い、でもめげずに色々やってみる、それが自然に滲み出る、それくらい様々な物事一所懸命取り組んでいければ。多く感動から色々と考えが巡りました。

2018/03/07

JIAトーク 3/7に開催された川瀬佑介さん(国立西洋美術館主任研究員)のお話。

川瀬佑介さん(国立西洋美術館主任研究員)によるJIAトークが開催されました。

「美術館のコレクションをそだてる」という美術館の舞台裏が聞けそうなことに興味を持ってくださった多くの方にご来場いただきました。

川瀬氏の軽妙な語り口に皆聞き入り、話に入り込むことができました。とても分かりやすく、話が体内にすっと入り込み解けていく感じ。

川瀬さんの話を思い出しながら是非もう一度国立西洋美術館で現在開催中のプラド美術館展に行ってみたいと思います。

写真は、JIAトーク前に色紙にサインを戴いているシーンだったり、JIAトーク会場、JIAトーク後の懇親会の模様などなど。次の日からヨーロッパ遠征が控えていたのにも関わらず、JIAトーク含む遅くまでお疲れ様でしたありがとうございました。

**

以前にも書きましたが、川瀬さん、僕と小学校同級で野球部同期の川瀬。いやいや奇遇なものでまさかこの1年に狛江とJIAの2回も関われるとは思ってなく、2回も川瀬の活躍を間近で見ることができたのは大変感慨深く。

それと、同じく同級の萩原さんと、中野が会場に聞きに来てくれたのも嬉しく。何より萩原さんとは生まれて初めての初対面で初会話w。子供の頃、いつも隣の隣のクラスで、恐そうなお姉さんだなーと遠巻きに見ていましたが、こうしてお話させて頂くことができ、大変光栄なことでしたww。JIAトーク後の講師川瀬先生を囲んでの懇親会にもお二方とも帯同していただき、JIA委員の人達と談笑してすっかり馴染んでいた姿もとてもかっこよくw。本当にお疲れ様でした。

**

来週は、いよいよJIAトーク新年度1回目、野田秀樹さん(劇作家・演出家・役者)の回です。これまた楽しみ。フェイスブックイベントページは以下です。
https://www.facebook.com/events/420802905038693/