設計製図の授業を教えている中央工学校で、受け持ち学年、クラスが卒業を迎えました。卒業した学生の皆様には心よりおめでとうございます、とお祝いの言葉を贈りたいです。よくこの2年間のハードスケジュールでハードな内容のものに喰らいつき、結果を一つ一つ積み上げながらこんにちを迎えられたと思います。
僕としては設計製図のエスキスという一つの作業を通じて、様々な会話をして、いくつかのきっかけを与えていたに過ぎないと思っています。それを理解し、あるいは理解せずに自分なりに消化し、何らかの形として表していったみんなは、すごいエネルギーを使ったのだと思います。心より尊敬します。これを一つの自信として更に上の高みに向かって進んでいってほしいと思います。
2月の授業の最後にも言ったし、卒業式にもお話を差し上げたので、それが最後にお伝えしたいことのほとんどです。改めて自分の2年間の言葉での伝達のまとめというか、そう言った意味合いも込めて、再度述べることしてみたいと思いまして綴ってみます。
建築は、コミュニケーションの集積物だと思っています。どんな職業、職種も少なからずそうだと思いますが、こと建築の仕事は、とにかく多くの人達と仕事を共働くしながら進めていかなければ出来上がらない、そんな仕事だと思います。自分以外の誰かと、そしてそれはとても多くの人と、一つ一つの会話を積み重ねていかなければなりません。相手のことを理解する気持ち、時に思いやり、時により良くなるような意見を持ち、それをお互い言葉や気持ちでもって、伝え合う、そんなことを繰り返して一つの建築が出来上がっていきます。
2年間で学んだ多くのことを自信に代えて、畏れずに自分以外の多くの人たちと接して会話して、自分の歩みを進め、建築というものを形にしていってほしいと思います。
そしてそのことと関連する話になりますが、多くの職種の人たちに出会います。お互いの職業、職種を尊重しあいながら、仕事を進めていってほしいと思っています。とかく、「あの人は~屋さんだからなあ、何もわかんないんだようなあ」と思ったり、言ってしまっりすることが出てくる可能性があります。図面や画像という共通言語を見ながら、きっとこれは何かを伝えたいに違いない、と注意深くそれらを読み解いていってほしいのです。きっと何かをあなたに伝えたいのでしょう。
「~屋さん」と呼んでも、決してばかにするのではなく、愛情もって理解するように努めていってほしいです。きっと何かを問いかけたり伝えたりしたいはずです。
最後になりますが、きっとわからないことだらけの中、仕事を進めていかなければならない、そんな毎日となるはずです。これも前述したコミュニケーションのことと繋がりますが、畏れずどんどん聞くと良いと思います。「てなんですか?」ベテランの域に達したからだと、聞くのもなんなのですが、どんどん細分化されていってる建築の仕事、それはもう日進月歩どころか、もっと速いスピードで進化していってます。全てを捉え続けるのはもはや不可能に近いです。であれば、どんどんその道のプロの人たちにわかないことは聞いていけば良いかと思うのです。ましたや、卒業したての頃は右も左も分からないはずなので、それこと、畏れずどんどん聞いていって、そして、コミュニケーションを図って、皆と協力し合いながら建築に取り組んでいってほしいと思います。
特に僕は設計をする立場だし、色んな人達の間に立つことも多い立場だから、よりそう思うのかも知れませんが、でも、多くの人たちに出会う機会が多いからこそ、その実感を伴った感想として卒業する皆さんにお伝えしたいと思っています。
写真は、受け持ちクラスの学生さんから頂いた花束です。こちらの方こそ本当にありがとうございました。みんなの姿勢からこちらも学ばせて頂いたことは本当に多かったです。4月からガラッと環境が変わるけど、一つ一つあらゆるものと対話しながら乗り越えていって下さい。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。